神の領域

神の存在を肌で感じた事があるか。神の行いを感じた事があるか。これから記すのは『競馬 最強の法則』2000年9月号巻頭企画「1万円あれば1日にいくら稼げるか」に”馬券王”矢口が参戦した際、誌面に公開した「狙ったレースは必ず獲る!”馬券王”矢口式馬券術公開講座」の内容である。企画参戦日時は2000年7月8日(土)で、雑誌発売は同8月中旬。参戦内容をまとめた雑誌掲載用の原稿に、雑誌発売直後に行われる8月20日(日)第36回札幌記念(GⅡ)の買い目の出し方を記した。原稿を書いたのが企画参戦直後7月中旬の事で、俺は1ヶ月後に行われる重賞の買い目の弾き出し方を伝授したのだ。

競馬予想支援ソフト「競馬道V3」

ユーザー理論の設定

<新規理論1>
1:上がり3F  (同距離/前5走) →100
2:競走馬勝率 →100
3:競走馬連対率 →100

予想実行後、○を軸に◎.×.△.▲へ流す。

上記は掲載内容をかなり簡単にした物。KKベストセラーズから「天才だ!」と言われるならいいが、「転載だ!」などと因縁をつけられるのがムカつくから省略した。少し説明しよう。競馬予想支援ソフト「競馬道Victory」シリーズは数ある予想理論項目の中からユーザーが最大8項目の予想理論を選択でき、各予想理論で集計対象距離や集計対象期間を設定し、それぞれに1~100までの強弱を付けてレースの予想が出来る。

俺が2000年8月20日(日)第36回札幌記念(GⅡ)を予想するのに選択したのは、

上がり3F(同距離/前5走)
競走馬勝率
競走馬連対率

以上3つの予想理論で強弱設定は全て100。なぜ◎を軸にせず○を軸にしたかと言えば、前出3予想理論項目の組み合わせによる予想結果で2位評価の馬、つまり○馬がこのアプローチで3年連続1着になっていたからである。だから弾き出された印を、

○ → ◎
◎ → ○
× → ▲
△ → △
▲ → ×

それぞれ修正した後で◎を軸に下位4点への馬連流し馬券を購入しろと指示した訳だ。そして俺は誌面にこうも記した、「札幌記念過去3年の平均馬連配当はたかだか733円だが、4点のオッズを考慮し厚薄をつけることにより、その値打ちも変わってくるだろう。是非お試しあれ。」と。

俺は第36回札幌記念(GⅡ)の有効的な買い目の出し方をレース1ヶ月前に雑誌誌面において公開・伝授した訳だが結果はどうだったかと言うと、馬連18番人気4890円を的中させた。誰にでも出来て誰もが同じ買い目を出せるやり方をレース1ヶ月前に公開して、1ヶ月後に馬連4点勝負で4890円を難なく的中。ノストラダムスの大予言が当たってたのか外れてたのかは置いといて、馬券王矢口の予言は一発一中で当たったぜ。しかも俺の予言は皆の為になる金儲けの予言、4点で4890円的中ならみんな儲かったろ。レース1ヶ月前、登録馬も出走馬も、馬場状態も馬体重も、ましてや鞍上も枠順も定かではない段階に、こうやってこう買えば当たるぞって予言して当てるなんて、誰でも彼でもに出来る芸当じゃねぇぞ。俺がやったパフォーマンスは人間離れした偉業だぜ!

このレースが確定した後、たくさんの感謝感激メールが届いた。その中にこんなメールも交じってた、「貴方の予想方法が出目論であったとしても、当たっているのだから凄い事です。」と。は~ぁ~?ドコらへんが出目論なんだ?傾向を探る行為が、即ち出目論って事になっちまうのか?○が3年連続で1着になっているって部分が、テメェに言わせりゃ出目論になんのかよ?何をどうあがいたって俺に敵うはずもない名無し野郎に、貴方の予想方法は出目論だとか何だとかほざかれたくねぇし。事もあろうか”馬券王”様に意見しようなんざ、100年は早ぇぞ。俺のID予想に優る予想は無ぇんだ。

翌2001年8月19日(日)第37回札幌記念(GⅡ)は、クロフネやダンツフレームを抑え日本ダービー1番人気に応え勝利したジャングルポケットが出走登録。しかも斤量54kgでの出走という事も働き出走回避馬が続出し、結局9頭立てとなってしまった。レース週マスコミはこぞって「ジャングルポケット圧勝」を宣言した。それとも俺のように予言したつもりかな。当然ジャングルポケットは1番人気になった。1年前と同様の予想方法で弾き出された俺の修正後予想印は、

◎ 2番人気 エアエミネム
○ 5番人気 ファイトコマンダー
▲ 1番人気 ジャングルポケット
△ 3番人気 スティンガー
× 6番人気 ウインシュナイト

だった。結果はと言うと、◎→○→▲と当時は発売されていなかったが3連単でパーフェクト的中!皆が圧勝を信じてやまずグリグリ1番人気に推されたダービー馬ジャングルポケットは3着。俺が◎○で馬連的中した配当は11番人気3480円だったよ。

機械オンチで競馬予想ソフトの類も作れない俺は、「競馬道Victory」シリーズの発売元であるNECインターチャネル(当時)に連絡した。「俺は馬券生活者軍団<IK>代表の”馬券王”矢口という者で、おたくの「競馬道Victory3」という競馬予想支援ソフトをカスタマイズし、月刊誌『競馬 最強の法則』2000年9月号巻頭企画において好成績を挙げ結果として貴社ソフトの宣伝になった訳だが、今回は礼金を払えとかそんなケチな相談ではない。「競馬道Victory」シリーズは全くの未完成ソフトと言え、足りない部分や改良した方がよい部分が多々ある。だから企画会議等で競馬予想の天才である俺の意見を取り入れ、さらなる躍進を図った方がよい。」といった内容。返事は無かった。いつも返事は無い。でもだいたい結果的として俺が思っている通りに事が運ぶ。

2年連続でこういった芸当を披露した俺は、「とうとう俺も神の領域に踏み込んじまったようだな。」とHPで能書きこきまくり。世の競馬ファン、馬券購入者と比較すれば雲の上の存在なのは前からそうなんだが、俺はとうとう神の領域にまで達してしまったんだよ。まぁこんだけ俺の信者どもに貢献すりゃあ、俺がいくら能書きこいても何の文句もねぇだろう。ただ最後にキチンと報告しておくが、2002年8月18日(日)第38回札幌記念(GⅡ)は不的中だった。そしてそれがトラウマとなり、HP閉鎖の一因となったのも事実だ。1度や2度は神の領域に踏み込んだ、だがやはり俺も所詮は人間。煩悩の塊でしかなく、予想界の神様大川慶次郎氏に並べる筈もなく、俺は”馬券神”を名乗れず”馬券王”に甘んじているのである。だから日々精進し競馬予想を追究するんだ。いつか誰もに競馬予想界の神様と呼ばせる為にな。